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夜に炭水化物を食べてもいいの?守りたい注意点

  • 糖尿病について
ごはん茶碗を持った女性

お仕事や学習塾などの生活スタイルで、食事の時間が遅くなっていませんか?

「夜の遅い時間に、炭水化物はなるべく食べないほうが良いのだろうな」

なんとなくわかってはいるけれど、食べないとお腹がすいて眠れなくて辛い。

そんなこともあるかもしれません。

 

結論を先に言います。

ズバリ、寝る前の炭水化物は避けた方が良いでしょう。

 

しかし、何も食べてはいけないわけではありません。

生活スタイルの影響で、どうしても夜遅い時間に食べてしまう人もいるでしょう。

この記事では、寝る前の炭水化物がダメな理由と、夜遅めの時間に食べる場合の工夫についてご紹介します!

 

栄養素としての炭水化物

まず、炭水化物とは何か、ざっくりと確認しましょう。

 

炭水化物は3大栄養素の一つで、その大部分はエネルギーをつくる「糖質」、一部は消化を助ける「食物繊維」です。

「糖」はお腹から吸収されると血液に溶けて全身を巡り、身体の臓器にエネルギーの源として届けられます。

 

「食物繊維」は水に溶けるものと溶けないものがあります。

水に溶けるものは糖の吸収を穏やかにして、身体に負担がかかりにくいようにします。

水に溶けないものは、水分をまといながら排便を助けます。

 

このように、炭水化物は身体にとって重要な栄養素と言えます。

 

夜に炭水化物を摂るデメリット

では、夜遅くに炭水化物を含めた食事を摂るデメリットについてご紹介します。

 

18時に食事を摂った場合と21時に食事を摂った場合とで、血糖値の推移を同一複数人数分データを取った調査があります。

その調査によると、21時に夕食の場合は夕食後の血糖値のピークが高く、翌朝まで高血糖が持続していました。

また、24時間の血糖平均値、食後血糖ピーク値では、21時の夕食が18時の夕食と比べて有意に高く、夜間の血糖上昇曲線下面積でも高い値を示していました。

 

簡単にまとめると、夜遅くに取った食事は食後の血糖値も高く、その後の血糖値の推移もダラダラと高い状態が続いたようです。

この原因は、

 

  • 夕食の時刻が遅くなり空腹状態が持続することで、血糖値を下げてくれるインスリンの働きが悪くなった。
  • 日中に比べると夜間の代謝効率は半分程度に低下するため、同じ栄養量の食事でも、遅い時刻に摂取すると血糖値が上昇する。

といったことが指摘されています。

参考:今井佐恵子ら : 食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える.化学と生物 Vol. 56, No. 7, 2018

 

とくに、食事に炭水化物が含まれていると血糖が上昇しやすくなることは、想像しやすいことでしょう。

このように、食事時間が遅いと血糖値が高い状態が続いてしまい、糖尿病になるリスクが上がってしまいます。

 

炭水化物を抜いた方が良いわけではない

では、夜遅くに食事を摂る生活リズムの場合は、炭水化物を含めてすべての食事を摂らない方が良いのでしょうか?

答えはNoです。

 

先ほどの説明のように、食事を取らない時間が長いとインスリンの働きが悪くなってしまうからです。

炭水化物は血糖値を上げ、場合によっては糖尿病のリスクとなってしまいます。

しかし、エネルギー源としては重要なので、完全に抜いてしまうことはお勧めできません。

 

それでは、どのように工夫したら良いのでしょうか。

 

炭水化物を摂るタイミング

食事の摂り方の工夫について見ていきましょう。

 

前述の、18時夕食と21時夕食を比較したデータの文献では、一回の食事を18時と21時に分けて取ったデータも紹介されています。

結果は、食事を分割した方が血糖変動,食後血糖ピーク値,血糖上昇曲線下面積が、すべて21時の夕食と比べ、有意に低下した、という内容でした。

 

簡単にまとめると、夕食を2回に分けた場合、21時夕食と比べると食後の血糖値を含め、すべての内容で血糖値の推移は良かったようです(ただし、18時の夕食と比べると劣っています)。

この理由は、

 

  • 1回の食事量,糖質量が減少し,食後の血糖値上昇が抑制された。
  • 分割食の1回目の食事により膵臓の反応性が良くなり、2回目の食事の際にインスリンの分泌が増進するという報告(セカンドミール効果)に矛盾のない推移だった。

と考えられています。

参考:S. Bonuccelli et al:Improved tolerance to sequential glucose loading (Staub-Traugott effect): size and mechanisms. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 297, E532 (2009).

 
 

また、まんべんなく2分割するよりは、より血糖値上昇が起こりやすい炭水化物を先にとる方が良いでしょう。

この際に血糖値の上昇がより穏やかになるように、水溶性の炭水化物である海藻類と合わせると、なお良いと言えるでしょう。

 

夜の食事は時間に注意

食事の時間が変動的と思われる、シフト勤務者は、肥満や生活習慣病の発症率が高いという報告もあります。

参考:L. C. Antunes. et al: Obesity and shift work: chronobiological aspects. Nutr. Res. Rev., 23, 155 (2010).

 

しかし、様々なライフスタイル、ライフステージにおいて、夜間に食事を摂らざるをえない場合もあることでしょう。

なるべく夜の食事が遅くなることは避けたいところです。

 

しかしその場合でも、できる限りの食事摂取時間の調整と、摂り方の工夫はした方が良さそうですね。

夜勤シフトがある場合でも、工夫をすることで、より生活習慣病になりにくい身体を維持することができるのではないでしょうか。

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