【摂りすぎに注意】ブドウ糖のデメリット
- 糖尿病について
「受験のおともにブドウ糖!」
「ブドウ糖は脳のエネルギー」
こんなキャッチフレーズを聞いたことはありませんか?
今やスーパーでも、ブドウ糖飴などの商品を見かけるようになり、私たちの生活にも身近になりました。
この記事では、「ブドウ糖」の正体が何者なのか、またそのメリットやデメリットについても触れながら、説明していきます。
ブドウ糖とはそもそも何か
「ブドウ糖」とは何でしょうか?
子どもに聞くと、「ブドウ味のキャンディー」、「ブドウみたいな色をしているお砂糖」、「ブドウみたいに、まるい粒の形をしたお砂糖」…そんな可愛い返事が返ってくるかもしれません。
しかし、果物のブドウとブドウ糖は直接の関係はありません。
ブドウ糖とは糖質の一種で、理科・化学ではグルコースと言われる単糖類になります。
単糖類とは、糖質・糖類のなかでも一番シンプルな形をしたもので、エネルギーをつくるのに効率のよい形をしています。
糖には他にも、スクロースやアミロースなどの、二糖類や多糖類といった様々なタイプのものがあります。
これらの糖に比べると、人の身体ではブドウ糖が一番、エネルギー代謝をしやすい形をしています。
また、吸収されやすくもあります。
簡単に言うと、ブドウ糖は「すぐに使えるエネルギー」ということになります。
身体に良い働き
ブドウ糖は身体に効率よくエネルギーを補給できることがわかりました。
それでは、ブドウ糖のメリットについて注目してみましょう!
ブドウ糖が、身体にとって一番良い働きをするのは脳です。
成人男性の摂取カロリー2000kcalのうち、脳は 337 kcalを消費しています。
作業をしたり、脳細胞の修復をしたりする時にエネルギーを使います。
また、無意識下でも252~253kcalを消費していると言われています。
参考:黒岩義之ら.自律神経科学元年の幕開け:今後の動向を考える.自律神経;58(1):2021
無意識下でもこれだけのカロリーを消費してしまうのです。
血糖値が下がって脳に十分なエネルギーが供給されず、イライラしたり仕事に全く集中できなくなったりした時には、ブドウ糖でさっとエネルギーを補うのも良いでしょう。
ブドウ糖のデメリット
では、ブドウ糖のデメリットは何でしょうか。
ブドウ糖は良くも悪くも、糖が素早く吸収されるため、血糖値が一気に上がります。
そして急激に上がった血糖値に対し、すい臓からインスリンが通常より多く分泌されます。
これにより血糖値が急降下するのです。
この血糖値の変化をグラフで表すとトゲ状に見えるため、「血糖スパイク」と表現されます。
この血糖スパイクの変化が起きると、どうなるのでしょうか。
脳にエネルギーを届けるために、ブドウ糖を摂取したとしましょう。
一時的にエネルギーを補うことはできますが、その後また血糖値は急に下がってしまいます。
つまり一時的に頭が冴えても、少しの経過で、また頭がぼーっとしてしまうこともあり得るのです。
また、血糖スパイクの変化が何度も起きていると糖尿病になってしまいます。
さらに、すでに糖尿病の場合は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも上がってしまいます。
このように、ブドウ糖摂取のデメリットは数多くあるため、「必要なとき以外の摂取はあまり勧められない」というのが率直な印象です。
不足してもよくない
では、ブドウ糖が不足した時はどうなってしまうのでしょうか。
過度な糖質制限をして低血糖状態に陥ると、いろいろな低血糖関連の症状がみられ、最終的には昏睡状態となってしまいます。
- 軽度の低血糖状態:交感神経症状が起きる
(汗をかく、不安な気持ちになる、脈が速くなる、手や指が震える、顔色が青白くなる) - 中等度の低血糖状態:中枢神経症状が起きる
(頭痛、目のかすみ、集中力の低下、生あくび) - 重度の低血糖状態:異常な行動、けいれん、昏睡
参考:低血糖 | 糖尿病情報センター | 国立国際医療研究センター
重度の低血糖状態の場合は、治療が遅れると脳にダメージが残ってしまう恐れがあります。
昏睡状態から回復しても、意識がはっきりしないままになったり、麻痺が残ってしまう可能性もあるので、注意が必要です。
上手につきあうことがポイント
ブドウ糖そのもののお話や、メリットとデメリットについてお話しました。
摂りすぎに注意のブドウ糖ですが、低血糖症状が出ている時など、もしもの時には心強いパートナーでもあります。
また、血糖値が下がっている時の、脳の瞬間的なサポートには役立つかもしれません。
摂取量を工夫して、ブドウ糖とうまく付き合っていきましょう!