検査・診断のこと

INSPECTION

“ 糖尿病かも!? ”

健診で血糖値が
高い場合は要注意

糖尿病は動脈硬化のリスクを高め、命にかかわる重篤な合併症を引き起こします。
しかし、初期段階では自覚症状がありません。
そのため、健康診断を行い「血糖」「HbA1c」(ヘモグロビンエーワンシー)数値の高さを見て、
糖尿病や糖尿病予備群を判断する必要があります。
血糖値はストレスや食生活などによって数値が変動するので、
最初の健康診断で異常があった場合は専門医の診断を受けて再検査に進みます。


血糖値とは


血糖値とは血中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。ブドウ糖は頭や体を動かすための重要なエネルギー源となります。糖質が消化された際に作られるため、食後は一時的に血糖値が上昇しますが、健康な方は徐々に平均的な値に下がっていくので問題ありません。しかし、加齢や遺伝、生活習慣などが要因で高血糖の状態が続くと糖尿病のリスクが高まります。

HbA1cとは


赤血球中のヘモグロビンは、酸素を体全体に運ぶ機能を持ち、ブドウ糖と結びつく作用があります。ブドウ糖とヘモグロビンが結びついた状態を、糖化ヘモグロビンと呼び、どのくらいの割合かをパーセントで表したものが「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)」です。健康診断の基本検査項目の一つで、高血糖状態だと数値が高くなります。赤血球の寿命はおよそ4ヶ月ほどなので、検査によって検査前1~2ヶ月の平均値が把握できます。

糖尿病を診断するために重要な「4つの値」

糖尿病の診断に重要な血糖値は食事の影響を大きく受けるため、3種類の血糖値が重要になります。
3種類の血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)の値によって、糖尿病かどうかの診断を行います。

血糖値

随時血糖値

食事した時間とは無関係に採血し、測定した血糖値です。

基準値:
200mg/dL以上

早朝空腹時血糖値

検査当日に食事を抜き、空腹状態で測定した血糖値です。

基準値:
126mg/dL以上

75gOGTT血糖値

空腹時に75gのブドウ糖を飲み、その後、30分後、1時間後、2時間後に採血をし、血糖値の推移を測定していきます。

基準値:
200mg/dL以上

HbA1c

基準値:6.5%以上

“ どうなったら糖尿病? ”

診断基準について

血糖値やHbA1cのどちらか一方だけでも基準値以上だった場合は、再検査が必要です。
ストレスや食生活などによって数値は変化することがあるので、再検査はより精度の高い方法を選択します。
再度基準値以上だった場合は、糖尿病という診断となります。
ただ、初回検査・再検査のどちらにおいても、
HbA1cだけが基準値以上だった場合は「糖尿病の疑い」となり、経過観察を行うのが基本です。

初回検査で血糖値のいずれかとHbA1cともに基準値以上の場合
初回検査で血糖値のいずれかのみ基準値以上の場合
初回検査でHbA1cのみ基準値以上の場合

※1 糖尿病網膜症:糖尿病によって血管の障害が強くなることで、網膜に血液が行き渡らなくなり、視力が低下する病気です。

この記事の執筆監修者

名和 知久礼 先生

名和 知久礼 先生
(名和内科クリニック 院長)

所属学会:
 日本内科学会
 日本糖尿病学会
 日本内分泌学会
 日本肥満学会

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