低血糖のこと

HYPOGLYCEMIA

“ 糖尿病の薬が原因?! ”

低血糖とは

糖尿病は高血糖状態が続くことが発症要因です。しかし、糖尿病治療を続けている患者さんの中には、インスリンやスルホニル尿素薬などの副作用で血糖値が低下することがあります。正常な血糖値(約70~110mg/dL)以下になるような状況を低血糖と呼びます。糖尿病でない場合、低血糖はほとんど起こりません。

低血糖になる要因は様々です。血糖コントロールを努力した結果生じることもあれば、インスリン製剤を補う際に血糖値のチェックを怠ったケースなども考えられます。

低血糖が起こる原因

  • 食事量の不足・炭水化物の摂取不足
  • 薬を使用してから食事時間が遅れた
  • 空腹時に運動を行う
  • 久しぶりに激しい運動を行う機会があった
  • インスリン製剤や飲み薬の分量が多い
  • 多量の飲酒・入浴など

“ 低血糖になったら
どうなるの?! ”

低血糖の症状

低血糖はその値によって体に様々な変化を及ぼします。
特に血糖値が50mg/dLよりも低くなると、判断力の低下、昏睡状態を引き起こすことがあり非常に危険です。
少しでも低血糖の兆候を感じた場合は、速やかな対応が欠かせません。

  • 01

    血糖値が70mg/dL以下


    症状

    • 脈が早くなる
    • 汗が急に出てくる
    • 手や指の震え
    • 不安な気持ちが止まらない
    • 顔色が悪い・蒼白
  • 02

    血糖値が50mg/dL程度


    症状

    • 生あくび
    • 目のかすみ
    • ズキズキとした頭痛
    • 集中力の著しい低下
  • 03

    血糖値が50mg/dL以下


    症状

    • けいれん
    • 昏睡(意識のない状態)
    • 異常行動

“ 起きてしまったら
どうしたらいいの?! ”

対処法

低血糖は注意をしていても、ささいなきっかけで起こることがあります。
放置すると、意識障害や昏睡などの重大なトラブルに繋がることもあるので、
少しでも普段の体調と異なると感じた場合は早急に対応しましょう。
そのためには低血糖の起こるメカニズム、対処法を知っておくことが重要です。

1

経口摂取ができる場合

低血糖の兆候を感じた場合は、ブドウ糖を摂取しましょう。分量は10gです。また、ブドウ糖を携帯していない場合は、砂糖20グラムがブドウ糖10gに相当します。そのため、清涼飲料水もしくはジュース200mlを摂取すると良いでしょう。適切にブドウ糖が取れれば、数十分ほどで症状が治まります。もし改善が見られない場合は再度同一の量を摂取してください。

軽食の場合は逆に高血糖につながってしまう可能性があるので、どうしても他に手段がない場合以外は出来れば菓子パン、おにぎり、チョコレートなどは避けましょう。また、αグルコシダーゼ阻害薬を服用している方は少しでも低血糖の可能性を感じたら、必ずブドウ糖を補給する癖をつけてください。

2

経口摂取ができない場合

意識混濁、昏睡状態の場合、無理にブドウ糖を摂取するのは危険です。そのようなケースにおいては、飲むのではなく、ブドウ糖を水で溶かした液体もしくはジュースを口腔内に塗りつけましょう。その後、救急車などを使って早急に医療機関を受診するのが先決です。

“ 低血糖を
繰り返さないためには? ”

予防について

糖尿病治療を続ける限り、低血糖のリスクが無くなることはありません。一番重要なのは、意識障害や昏睡する前に適切な対処を取ることです。そのためご自身の生活の中で、どのような時に低血糖を生じる可能性があるのかを把握することを心がけましょう。

あわせて低血糖の症状を知っておけば事前に違和感を察知することが可能です。適宜医師と相談して、ライフスタイルの見直し、使用薬の変更を再検討するのも良いかもしれません。

この記事の執筆監修者

名和 知久礼 先生

名和 知久礼 先生
(名和内科クリニック 院長)

所属学会:
 日本内科学会
 日本糖尿病学会
 日本内分泌学会
 日本肥満学会

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