食事療法について

DIET THERAPY

“ 糖尿病治療の基本 ”

食事療法とは

2型糖尿病の約80%の人が
食事療法で改善します

食事の量や内容に気を配れば、インスリンを分泌する膵臓の負担を軽くすることが期待できます。単に摂取カロリーを少なくすれば良いわけではなく、栄養バランスを考えて食事を取ることが重要です。特別なメニューが必要なわけではありません。日々の食事の栄養素やエネルギー量を把握できれば、食事を楽しみつつ、糖尿病の改善を目指せます。

“ 誰でもできる ”

食事療法のポイント

血糖値をコントロールするために重要なポイントをまとめました。
特別なメニューは必要なく、ちょっとした心がけで日々の生活に食事療法を取り入れることができます。

1

1日のエネルギー(カロリー)摂取量を守る

必要以上にカロリーを摂取すると、膵臓に負担がかかります。そのため、年齢、性別、身長、体重、毎日の運動量などから、ご自身の適切な摂取エネルギー量を知っておくことは重要です。適切なカロリー量を知り、その範囲内で、タンパク質や各種ビタミンなどの栄養素をバランス良く摂取できれば、膵臓の働きが回復したり、血糖コントロールを行いやすくなったりします。

身長を入力してください。

身長  x 身長  x 22


身体活動量を選択してください。


1日の適正なエネルギー量(kcal)

 ~  kcal
2

バランスのよい食事を摂る

体に必要な栄養素を取り入れることだけが、バランスの良い食生活のメリットではありません。それ以上に重要なのが栄養バランスを重視した献立は、結果的に血糖が上がりにくい食事メニューに繋がることです。さらに、過剰にカロリーを摂取することも防げます。

バランスのよい食事とは

健康に良い食事の基本は、主食・主菜・副菜の3種類をバランス良く組み合わせた献立です。具体的には「主食」がごはんやパンなど炭水化物を含む食品、「主菜」はいわゆるおかずで魚や肉などの食品、そして「副菜」が野菜・海藻・きのこなどです。これらに加えて牛乳や果物を取り入れた食事を、1日3食続けることを心がけてください。また麺類や丼物などに関しては、単独で摂取するのではなく、必ず副菜を付け足すようにしましょう。

主食


摂取カロリーの半分程度がベストな主食の分量です。つまり、1日1600kcalが基準の場合は800kcal。ご飯1膳(160g)がおおよそ約270kcal、食パンは6枚切の場合で1枚が約160kcalです。

主食のメニュー例

ごはん、パン、芋類、麺類などの炭水化物

主菜


摂取カロリーの4分の1がベストの分量です。つまり1日1600kcalは基準の場合は約400kcal。朝・昼・夜の3食で考えた場合、焼き魚の切り身1切れで1食分の約130kcalに抑えられます。

主菜のメニュー例

肉、魚、卵、大豆などを使った料理

副菜


野菜、海藻、きのこ類は豊富な栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維)を持っているので積極的に摂取しましょう。目安としては1日350g以上が理想と言われています。

副菜のメニュー例

野菜、海藻、きのこ類などを使った料理

3

食べる順番に気を付ける

誰でも食後は血糖値が高くなります。たとえば丼物や麺類などは炭水化物が含まれているので、100%血糖値が上がり、食後1時間でピークを迎えます。しかし、タンパク質が含まれる主菜の場合は食後数時間が血糖値のピークだったり、食物線維が豊富に含まれる野菜は糖質の吸収を遅らせたりする効果があります。

つまり、食べる順番を工夫すれば食後高血糖のリスクを抑えられるというわけです。ベストな方法としては、野菜から食べ始めることです。その後に、主菜→主食と食べ進めていけば血糖値の上昇を抑えられます。

血糖値上昇を抑える食べる順番

  • 01

    野菜


  • 02

    タンパク質など
    (肉・魚など)


  • 03

    炭水化物


4

1日3食、規則正しく食事を摂る

1日3食を心がけ、1回1回の食事はできる限りバランスよくとることを心がけましょう。一日の総摂取カロリーのみを考えると、一食抜いて、他の時間に摂取するという考えも浮かぶかもしれません。 しかし、その場合は一度の食事量が多くなって膵臓に負担がかかります。また、間食などをすると次の食事までの間隔が短くなり、血糖値が高い状態が持続してしまいます。

“ 今すぐできる ”

外食時に気を付けること

「食事療法が重要なのはわかっているけれど毎日は大変……。」そのような声はよく伺います。
確かに毎回毎回、栄養を計算し、バランスの良い食事メニューを考えるのは大変です。
またライフスタイルの問題で外食が多くなりがちという方も多いかもしれません。
その場合は、大盛りを禁止にする、揚げ物は避ける、野菜を多めのメニューにする、
食事の順番に気をつけるなど血糖コントロールを意識するようにしましょう。

単品料理ではなく定食スタイル


外食はラーメン、丼物、パスタなどの一品料理が多くなりがちです。必然的に野菜が不足し、炭水化物の割合が多くなります。そのため、外食時のおすすめは定食スタイルです。炭水化物、たんぱく質、緑黄色野菜などをバランス良く摂取できますが、追加でサラダなどを頼むのも良いでしょう。食事の際も野菜から食べ始める事で、血糖値の急上昇を防ぐことが期待できます。

アルコールは適量内


食事療法がうまくいかなくなることが多いこと、低血糖の要因となることもあるため、基本的にはアルコールの摂取は控えるべきです。ただし糖尿病の進行状況、生活習慣病との兼ね合いによって適度な飲酒なら許可されるケースもあります。

炭水化物に注意


ラーメン、お茶漬け、パスタ、餃子、たこ焼き、うどん、チャーハン……これらはほとんどが炭水化物です。居酒屋メニューの代表格ですが、確実に一日のカロリー摂取量をオーバーし、炭水化物過多になってしまいます。炭水化物の量は少なく、主菜や野菜をメインに摂取するように心がけましょう。

甘くない飲み物


食事に合わせて甘いソフトドリンクをオーダーすることはありませんか?しかし、それは非常に危険な習慣。ジュースやカフェラテなどは、カロリーが高く、血糖値の急上昇を招いてしまいます。オレンジジュースもしくはアップルジュースなどは、200mlで80kcal以上に相当します。外食時は、水・お茶・無糖の珈琲などがおすすめです。

その他の治療法

運動療法

薬物療法

この記事の執筆監修者

名和 知久礼 先生

名和 知久礼 先生
(名和内科クリニック 院長)

所属学会:
 日本内科学会
 日本糖尿病学会
 日本内分泌学会
 日本肥満学会

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