よく噛んで食べる習慣が肥満防止に?影響と重要性
- 糖尿病について

あなたは食事の際、よく噛んで食べることができていますか?
よく噛むことは食欲を抑える効果があり、ゆっくり食事を味わうことで、少ない量でも満足感を得ることができます。
そして、満腹感を得られやすくなれば、肥満予防にも繋がります。
「あごが疲れてしまう」という方もいるかもしれませんが、食べ物をよく噛んで食べることには、健康面で良い効果があるのです!
今回は、よく噛んで食べることのメリットについてご紹介します。
早食いのデメリット
食事を早食いしていては、よく噛んで食べることはできません。
早食いをするデメリットの一つに、満腹中枢への刺激が少なくなってしまうことがあります。
食べた物を満腹中枢が感知するまでには約15分ほど時間がかかります。
しかし、早食いをすると、満腹中枢に十分な信号が送られる前にたくさん食べてしまい、結果的に太ってしまうことに繋がります。
また、早食いはインスリン分泌の促進にも関係しています。
食べる速度が速いと食物の消化・吸収が追いつかずに、血糖値が急上昇します。
その急激な血糖値の上昇を抑えるために、インスリンの分泌が増えてしまうのです。
インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割があるのですが、過剰に分泌されると、体に脂肪を溜め込みやすくなる恐れがあります。
さらに、十分に噛まずに食べると、消化酵素の分泌量が減少してしまいます。
消化酵素は、食べたものを胃や腸で効率的に消化吸収するために必要なのですが、消化酵素が不足すると食べ物の消化が悪化してしまい、胃や腸に負担をかけてしまうことに繋がりかねません。
噛む回数が少ないと唾液の分泌量も減少し、口内の自浄作用も弱まります。
それにより、虫歯や歯周病、口臭などのリスクも高まる可能性があるのです。
以上のように早食いにはデメリットがあり、体重の増加だけでなく、消化機能の悪化など、さまざまなトラブルが引き起こされてしまうのです。
よく噛んで食べると肥満の対策になる
現在ではファーストフードなどの柔らかい食べ物を好んで食べる傾向があり、食事の時間も短くなりました。
そのため、昔ほどよく噛むことができていないと言われています。
よく噛むことは肥満の予防にもなります。
肥満の人は一口あたりの食べる量が多く、噛む回数も少ないことが特徴です。
つまり、早食いなのです。
しかし、よく噛めば満腹中枢が刺激され、満腹感を得るようになるので、結果的に食欲を抑え、肥満を予防することに繋がります。
食事の時には、ひと口20〜30回ほどよく噛むことを心がけましょう。
よく噛むとだ液がたくさん出ますが、だ液は食べ物の消化を助けてくれるので、栄養も吸収されやすくなります。
また、ゆっくり食べることで、食事が終わってからもエネルギーを消費しやすい状態が続くと言われています。
基礎代謝量を上げるためにも、よく噛んで少しずつ食べましょう。
咀嚼と血糖の上がり方の関係
よく噛むことは、血糖値の上昇を緩やかにする効果もあると言われています。
「血糖値」とは、血液中の糖の濃度のことで、糖の摂取によって上昇します。
血糖値が急上昇すると、血管に負担がかかり、動脈硬化のリスクが高まることで、生活習慣病の引き金となりかねないので注意が必要です。
よく噛むことで、血糖値の急上昇を防ぎ健康に近づけるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
また、食後の血糖値を下げるインスリンは、すい臓から分泌されるホルモンです。
通常は食後に血糖値が上がると分泌されますが、よく噛むことで脳が刺激されると、食事中からインスリンの分泌が促されます。
そのため、食事の際はテレビや仕事をしながらの「ながら食い」は避け、なるべく集中して、五感を使い、食事をじっくり味わいましょう。
食事の満足感を高めるためにも、食事と向き合い、ゆっくり味わうことが重要です。
よく噛むことが苦手な人に試してほしい方法
よく噛むことが重要であることをお伝えしてきましたが、慣れていない人にとってはなかなか大変ですよね。
そのような場合は、噛み応えのある食材や料理を選ぶことで、自然と噛む回数を増やすことができます。
例えば、ごぼうや大根といった根菜など、食物繊維が豊富な食材を選んでみましょう。
料理の際には、噛む回数を増やすために食材を大きめに切ることも効果的です。
他にも、食べ物を口に入れている間は、水分を控えることも大切です。
飲み物やスープを口の中で食べ物と一緒に流し込んでしまうと、噛む回数が減り、消化にも負担がかかります。
また、食事は家族や友人と一緒にゆっくり楽しむことがおすすめです。
これらのポイントを意識しながら食事をすると、噛む回数が自然と増え、消化や栄養の吸収もより効果的に行えるでしょう。
健康的な食事習慣の一環として取り組んでいただけると、より健康的で楽しい生活を送ることに繋がります。
食生活と生活習慣病
生活習慣病は、偏った食事や運動不足などの生活習慣を長期間続けることで発症します。
放置すると、動脈硬化が進行し、最終的には脳卒中や心筋梗塞など命に関わる状態になります。
生活習慣病の原因はさまざまですが、食事の乱れ、不規則な生活、ストレス、飲酒、喫煙、運動不足などが挙げられます。
特に肥満症や高血圧症、糖尿病などは、食事によるエネルギーの過剰摂取や、栄養バランスの偏りなどの食習慣の乱れが主な原因と言われています。
そうした点からも、食生活は重要であり、症状が進行する前であれば、予防できる可能性もあります。
よく噛むことは健康的な食事習慣を築く上で重要な要素です。
血糖値の上昇を緩やかにし、体の健康を保ち、生活習慣病のリスクを減らすことができます。
改めて食事の時間を大切にし、噛むことを通じて健康な生活を送りましょう。
この記事の執筆監修者
管理栄養士 小園 幸
■プロフィール
神奈川県出身。
子供の頃から「食」と「運動」に興味があり、人の健康に関わりたいという想いから栄養士を目指す。
栄養士専門学校を卒業後、実務経験を経て管理栄養士免許取得。
現在は、痩身教室での食事指導や特定保健指導、コラム執筆などに従事。