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目がかすむのは糖尿病?関係について調べました

  • 糖尿病について
目が疲れている女性

最近目がかすむような気がする…。

年齢のせい、疲れのせい、それとも何か病気が隠れているせいなのか。

試しにインターネットで、「目がかすむ 原因」をキーワードに調べてみると、たくさんの情報が出てきてよくわからなかった、そんな経験はありませんか。

この記事では、目のかすみの原因や、放っておくと危険な「糖尿病による目のかすみ」についてお話します。

 

目がかすむ仕組み

まずは、目がかすむ時に、目の中でどんなことが起きているのかを考えてみます。

目のつくりから、目がかすむ仕組みを紐解いてみましょう。

 

難しそうに聞こえるかもしれませんが、目のつくりの大まかな内容は、中学校の理科で勉強すると思います。

中学生でもわかるやさしい内容なので、スラスラ読んでいきましょう。

目の主な構造5つをカメラに例えると、次のようになります。

 

  1. 角膜 = レンズフィルター(主にレンズを保護する)
  2. 水晶体(いわゆる黒目の部分) = レンズ
  3. 虹彩 = 絞り(光の量を調節する)
  4. ガラス体 = レンズとフィルムの間
  5. 網膜 = フィルム

 

これらのパーツに異常があった時に、目のかすみは起こります。

カメラの部品に傷ができたり、うまく動かない部分があるとどうなるでしょうか。

 

モヤがかかった写真や、ピントがずれた写真が出来上がってしまうことは想像しやすいでしょう。

また、人の目は二つあるので、二つのカメラ(目)が連動している必要もあります。

 

かすんでしまう原因

では、かすんでしまう原因は何でしょうか。

基本的には、目の構造のうち、「動くパーツ」は動きの異常と傷がついた場合の異常、「動かないパーツ」は傷などがついた場合の異常によってかすみが生じます。

 

①角膜(動かないパーツ):外傷や炎症、緑内障など

角膜は、ドライアイや外傷による損傷、感染による炎症などにより透明度が低下することがあります。

また、角膜に栄養を送る水分の流れが悪くなる、いわゆる緑内障になると角膜の張りに異常が起きます。

これらの結果、視野にモヤがかかってしまいます。

 

②水晶体(動くパーツ):近視や遠視、動眼神経の異常、白内障など

水晶体を引っ張る筋肉によって水晶体は動きます。

この筋肉がうまく働かないとピントが合わず、目がかすみます。

筋肉のみの問題は、いわゆる近視や遠視です。

 

他に、動眼神経、外転神経、滑車神経という神経の問題で、眼の筋肉の動きが悪くなることもあります。

この原因は脳卒中や動脈瘤、糖尿病など、たくさんあります。

これらは、身体に起きた他の異常と合わせて判断します。

 

また、加齢によって水晶体のたんぱく質が濁った状態である白内障や、感染症などで水晶体に炎症が起きると、角膜の異常と同様に視野にモヤがかかってしまいます。

 

③虹彩(動くパーツ):動眼神経の異常など

虹彩は目に入る光の量を調節する筋肉です。

虹彩に問題があると、暗いところで視野が見えにくい夜盲症(鳥目)などの症状が見られます。

感染などの炎症や、神経の異常によって起こります。

 

④硝子体(動かないパーツ):出血やぶどう膜炎など

硝子体は水晶体が調整した映像を網膜まで届ける、透明度の高い組織です。

硝子体には血管はありませんが、眼底出血や硝子体の周囲にあるぶどう膜などの炎症によって濁ることがあります。

この場合は視野にモヤがかかったり、虫が飛んでいるように見えることがあります。

 

⑤網膜(動かないパーツ):糖尿病や感染による出血や炎症、加齢など

網膜は視野を映し出す部分です。

網膜のすぐ近くの脈絡膜や、ぶどう膜とも密接に関係しています。

 

これらの膜が、感染によって炎症や出血を起こしたり、外傷によって剥がれたり(網膜剥離など)、加齢性黄斑変性症などの加齢によるたんぱく質の変化により、視野が欠けてしまいます。

場合によっては失明することもあります。

糖尿病による失明、「糖尿病性網膜症」です。

 

これについてはこの後詳しくお話します。

 

糖尿病網膜症について

それでは、糖尿病によっておこる、目のかすみや失明の危険性もある「糖尿病性網膜症」についてお話します。

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気です。

慢性的に血糖値が高いと、血管を攻撃する因子が分泌されます。

このため、身体全体の血管が傷んでしまいます。

 

よりダメージを受けやすいのが細い血管です。

ダメージによって動脈硬化を起こし、最終的には血管が詰まってしまいます。

網膜には細い血管が多いため、他の臓器に比べて早い時期に障害を受けます。

網膜の血管が詰まると、その部分を栄養していた網膜が傷んで、視野が欠けてしまいます。

 

しかし、簡単に視野が欠けてしまっては困るので、網膜の血管は詰まった血管の代わりに、近くの血管から急いで新しい血管の枝(新生血管)を作ります。

一見、それで糖尿病の異常は解決されたように見えますが、安心はできません。

 

この「新生血管」は突貫工事で作った血管なので、非常にもろく出血しやすいのです。

糖尿病ですでに動脈硬化が進んだ状態だと、高血圧症も併存していることが大半です。

血圧が高いと、「新生血管」は簡単に破れ、網膜は傷み、最終的には視野欠損や失明に至ってしまいます。

 

糖尿病の前兆に注意して予防を

失明してしまう危険性のある、「糖尿病性網膜症」。

一度傷んでしまった網膜は二度と元に戻らないため、予防がとても大切です。

健康診断などを定期的に受けられない状況だと、糖尿病に気づかないかもしれません。

 

日常生活で糖尿病を疑うサインは、「異様にのどが渇く」、「尿の回数が増えた」などです。

また、すでに糖尿病を指摘されている場合は、「指先や足先のしびれ感や感覚の鈍さ」には特に注意が必要です。

 

糖尿病のよくある合併症である「糖尿病による手足の感覚異常、末梢神経障害」は、糖尿病性網膜症より先に生じます。

この症状が見られた場合は、赤信号に近い黄色信号と考えて良いでしょう。

 

ここまで、目がかすむ原因や、気を付けたい「糖尿病性網膜症」についてお話しました。

普段から気を付けることで、クリアな視界をより長く保った生活を続けることができます。

糖尿病と診断されている方はいつもの健康診断と合わせて、定期的な眼科検診を受けるようにしてください。

健康診断で糖尿病が疑われるなど異常を指摘された場合には、速やかに医療機関を受診してください。

 

この記事の執筆監修者

木村 眞樹子木村 眞樹子 先生
(総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医)

 
 
 
 

■経歴

都内大学医学部 卒業

大学病院で循環器内科、睡眠科に従事

現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む

■所属学会

日本内科学会

日本睡眠学会

日本循環器学会

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