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血糖値とストレスって関係あるの?発散方法が悪化を招くことも

  • 糖尿病について
ストレスが溜まっている女性

血糖値が高くなってしまう、血糖のコントロールが悪くなってしまうときには様々な要因が考えられます。

ストレスも血糖のコントロールと大きく関係していることがわかっています。

ストレスと血糖値の関係について解説していきます。

 

ストレスで血糖値が上がってしまう仕組み

どうしてストレスが血糖値と関係があるのでしょうか。

血糖値が上がるときには、血糖が上がりやすくなっている状態と、血糖値を下げる効果が得られにくくなっている状態の、2つの影響により血糖値が上がってしまいます。

 

血糖値を上げるホルモンがでる

 

血糖値をあげるホルモンとして、グルカゴンや成長ホルモンやコルチゾールなどがあげられます。

代表的な効果は、グルカゴンは血糖値が下がりすぎないように、成長ホルモンは身体の成長を促す、コルチゾールは免疫など。

それぞれ身体に必要な時に必要なタイミングで分泌されるものです。

しかし、これらのホルモンは身体的、精神的な負担や、ストレス状態により分泌が促されてしまうため、血糖値が上がってしまいます。

 

インスリン抵抗性が上がる

 

インスリン抵抗性というのはインスリンの効きやすさのことをいいます。

インスリンは膵臓から出され、唯一血糖値を下げるために働くホルモンです。

体質や肥満、運動不足などがあるとインスリンが効きにくくなると言われ、糖が筋肉や脂肪に取り込まれなくなるため、血糖値は下がりにくくなります。

インスリン抵抗性が高いときには、血糖値を下げるためにインスリンを多く必要としますが、この状態が続くと膵臓でのインスリンを出す機能は衰え、糖尿病となります。

ストレスがかかっている状態もインスリン抵抗性が上がることがわかっており、インスリン抵抗性が高い状態では血糖値は下がりにくくなります。

 

たまったストレスの解消がさらに悪化を招くことも

ストレスを解消する方法、ストレスコーピングは人により異なります。

自身にとってはストレス解消になる行為が、血糖値に影響してくることもあるので注意してください。

上手にストレスを解消するためには、自身にとってのストレス解消法をいくつか列挙し、生活習慣に影響のないものを選べると良いかもしれません。

 

食べてストレス解消

 

ストレスがたまるとついつい食べすぎてしまう、ストレス解消法が食事という方は要注意です。

1日の活動に必要なエネルギーは決まっています。

過剰なカロリー摂取は肥満のもととなり、肥満になればインスリン抵抗性上昇により血糖値は上がりやすくなります。

また、ストレス状態では、甘いものを好んで食べる方も多いでしょう。

カロリー過多になりやすいだけでなく、急激な血糖値上昇の要因となりやすい食品も多く、血糖コントロールには好ましくないと言えます。

 

アルコールでストレス解消

 

飲酒がストレス解消になるという方も多いと思います。

しかし、過度な飲酒はカロリーの過剰摂取につながります。

お酒の席ではおつまみも一緒に食べると思いますが、おつまみは味も濃いため食事が進みやすくなります。

さらに、脂っこいものも多く、お酒により食欲が増すことで食べ過ぎになりやすい状況です。

 

タバコでストレス解消

ストレスがたまるとタバコの本数が増えるという人もいるのではないでしょうか。

タバコを吸うことで血糖値が高くなることがわかっています。

交感神経を刺激すること、インスリンの働きを妨げる、という2つの働きによりタバコが血糖値を上げてしまうと考えられており、糖尿病を発症しやすいのです。

 

眠れなくなることも血糖値には悪影響

ストレスがかかることで睡眠にも影響がでてしまうことを経験したことがあるかもしれません。

眠れなくなることで血糖値にも影響が出てしまいます。

一方で、糖尿病などの生活習慣病が不眠を引き起こすこともわかっています。

 

ストレスと睡眠

 

通常、人が眠りにつくときには副交感神経が優位となり、リラックスした状態となります。

しかし、ストレスが負荷となっているときには交感神経が優位で、脳は興奮している状態であり、寝付きにくい、寝付いても眠りが浅いといった状態になるのです。

ストレスは血糖値を上げてしまう要因でもあり、ストレスの影響を大きく受ける睡眠は血糖値と関連していることがわかります。

 

睡眠障害と血糖値

 

睡眠に問題があることはストレスとなって血糖値に影響を及ぼしてしまいます。

寝付けないこと、途中で起きてしまう、眠りが浅いといった睡眠への不満がストレスとなり、血糖値をあげてしまうのです。

また、血糖値が高い方には「肥満」が多くみられ、肥満は睡眠時無呼吸症候群の要因です。

睡眠時無呼吸症候群でみられる無呼吸、低呼吸の時には、寝ながらも息苦しいため交感神経優位のストレス状態となり、血糖値は上がってしまうのです。

 

糖尿病と不眠

 

健康な方に比べ糖尿病の方で睡眠に悩む人は2倍以上といわれます。

糖尿病の症状では夜間頻尿や、神経症状による痛みやしびれがおきることがありますが、そういった症状が睡眠の質を悪くしてしまうのです。

また、糖尿病治療で低血糖への不安などが精神的ストレスとなり、不眠を招きます。

その他、食事時間が不規則、睡眠リズムがばらばらといった、生活習慣が乱れることは糖尿病のリスクとなりますが、こういった生活習慣の乱れは不眠のリスクでもあります。

いずれも生活習慣を起因とするものであり、糖尿病の方で睡眠に問題を抱えている方が多いのも関係しているでしょう。

 

過食や夜更かしではないストレス発散方法を

ストレス状態は血糖値を上げてしまいますが、ストレス解消する行為が血糖値を上げてしまっては意味がありません。

自身にあったストレス解消法を見つけてみてください。

 

しっかりと身体を休める

 

疲れはストレスそのものですので睡眠をとることは一番に大切です。

ストレスは不眠の要因ともなりますが、ゆっくりと湯舟に入って体を温め、寝る前にハーブティーを楽しむなどリラックスできる環境を整えることで、睡眠の質をよくすることができます。

アロマなどを併用することでさらにリラックス効果が得られるでしょう。

 

適度な運動をする

 

運動は血糖のコントロールをよくする効果もあり、ストレス解消にもなります。

また、早めの時間に運動をすることで、寝つきをよくすることにもつながります。

 

趣味などでストレスを解消する

 

ストレス解消法は人によってさまざま、映画鑑賞、人とおしゃべり、ゲーム、旅行などなど、家で楽しむものから、他の人と外で楽しむものまであります。

自身にあった血糖値と関係のないストレス解消法を見つけてください。

 

ストレスのコントロールが難しい場合は

ストレスが自身の許容を超えてしまうとメンタルヘルス不調の原因などにもつながります。

ストレス状態が続いてしまい、自身での解消が難しいと感じた時には、早めに専門家に相談するようにしてください。

 

この記事の執筆監修者

木村 眞樹子木村 眞樹子 先生
(総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医)

 
 
 
 

■経歴

都内大学医学部 卒業

大学病院で循環器内科、睡眠科に従事

現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む

■所属学会

日本内科学会

日本睡眠学会

日本循環器学会

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