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糖尿病の人はお酒は飲めない?気をつけるべき注意点

  • 糖尿病について

現在日本では、成人の6人に1人が、糖尿病とその予備軍に該当すると言われています。

糖尿病の悪化や予防の為には、お酒は控えるべきと言われることが一般的です。

 

とはいえ、適量の飲酒はストレス解消や人間関係の円滑化など、私達の生活を豊かにしてくれる側面もあります。

糖尿病になってしまったら、一生お酒を飲んではいけないのでしょうか?

 

結論から言うと、医師から禁酒の指示がなければ、糖尿病やその予備軍の人でも飲酒が可能です。

もちろん飲み過ぎは厳禁ですが、適量をきちんと守ればお酒を楽しむことができます。

飲酒と糖尿病の関係をしっかり理解して、具体的なお酒との付き合い方を学んでいきましょう。

 

お酒には糖質が含まれている

糖尿病になったら飲酒を控えましょう、と言われる理由は、お酒に含まれる成分が関係しています。

 

1つ目の成分は糖質です。

糖質の摂取過剰は、血糖値の急激な上昇や栄養バランスの偏り等を引き起こし、糖尿病発症や悪化につながります。

糖質が含まれているかどうかは、お酒の種類によって異なるので、具体的に見ていきましょう。

 

醸造酒は、糖質の含まれるお酒の代表格です。

醸造酒として有名なのは、ビール、日本酒、ワイン。

これらは穀物や果汁といった、糖を含む液体を酵母で発酵させることにより、糖からアルコールを生成しています。

原材料に糖質が多く含まれているので、醸造酒は糖質を含んでいるのです。

 

また、果実酒も糖質を含むお酒です。

梅酒やあんず酒などが分類されます。

果実を大量の氷砂糖とアルコールで漬け込んで製造されることが多く、氷砂糖の種類にもよりますが、基本的に糖質量は高めになっています。

 

一方、蒸留酒には糖質が含まれていません。

ウイスキーやブランデー、焼酎などが蒸留酒です。

醸造酒と蒸留酒は、基本的に途中まで作り方は同じなのですが、蒸留酒はアルコールのみを取り出す工程を行います。

純粋なアルコールは糖質が含まれていないため、糖質が蒸留酒に残らないのです。

 

アルコールがもたらす身体への影響

「じゃあ糖質ゼロのお酒なら、たくさん飲んでも良さそう!」と思った方、残念ながらそれは違います。

糖尿病に関係するお酒の成分の2つ目は、アルコールそのものだからです。

アルコールによる糖尿病への影響は、主に4つ挙げられます。

 

①アルコールの作用やその代謝によって、血糖値を変動させます。

多量飲酒の場合は、アルコール性膵炎やアルコール性肝硬変を引き起こす可能性も。

これらの病気は、血糖値が下がりにくくなる原因となります。

 

②アルコール自体は1gあたり7kcalと高カロリー食品に分類されます。

アルコールは「エンプティーカロリー(カロリーはあるのに栄養的価値が空っぽ)」と言われることも。

さらに飲酒は食欲増進効果があり、食べ過ぎて肥満の原因になります。

肥満は糖尿病の予防や悪化防止のため、もっとも避けるべき要因の一つです。

 

③過剰な飲酒は高血圧の原因です。

適量の飲酒は血圧が低下する効果を期待できますが、大量に飲み続けると血管の収縮反応が過剰になり、血圧上昇につながります。

高血圧は糖尿病のリスクを2〜3倍に高めるとされているため、継続的な適量以上の飲酒には注意が必要です。

 

④糖尿病治療に悪影響を及ぼす恐れがあります。

特にインスリン治療中では、飲酒により一時的に低血糖を引き起こすことがあり、命の危険もあります。

禁酒などの医師の指示には必ず従いましょう。

 

お酒を飲む前にチェックしてほしいこと

お酒と糖尿病の関係が分かったところで、「自分は飲酒が可能なのか?」をチェックしてみましょう。

糖尿病またはその予備軍の人は、安全な飲酒のために以下の条件をすべてクリアする必要があります。

 

  • 医師から飲酒の許可が出ている
  • 血糖コントロールが良好であり、合併症や重度の高血圧、動脈硬化も持っていない
  • 肥満ではない
  • 適量を必ず守る

 

特に糖尿病を発症している人は、飲酒は医師の確認を取ってから検討しましょう。

治療の妨げになる可能性や、合併症発症のリスクを高める危険性があります。

 

「適量」は個人により異なりますが、以下の目安量を参考にしてみてください。

厚生労働省の指標では、1日のアルコール摂取量の目安は、男性で20g以下、女性や高齢者はそれよりも控えることを勧めています。

 

具体的なお酒に置き換えて紹介すると、エタノール換算約20gの分量は、ビール中ジョッキ1杯(500ml)、チューハイ1缶(500ml)(ストロング系なら1/2缶が目安)、ワイン2杯(200ml)、日本酒;1合(180ml)です。

 

お酒の楽しみ方にも注意が必要

最後にお酒を飲む時の注意点を確認していきましょう。

前提として、空腹時での飲酒は厳禁です。体にダメージを与えやすく、特に薬物治療中では低血糖になりやすいため、食事をしてから飲み始めましょう。

 

おつまみの選び方は、とても大切なポイントです。

揚げ物はおつまみの定番ですが、カロリーオーバーにつながりやすいため、「今日は唐揚げ2つまで!」などあらかじめ決めておくことをおすすめします。

さらにお好み焼きといった、糖質の多い粉ものや芋類なども、血糖値が高いままキープされる原因に。

温野菜や茹で枝豆など、野菜類や豆類などを積極的に選ぶと、食事バランスがぐっと良くなります。

 

また、調味料のつけすぎにも注意しましょう。

飲酒中は濃い味付けが欲しくなるものです。

しかし醤油やマヨネーズのつけ過ぎが度重なると、高血圧やカロリーオーバーにつながります。

 

サラダのドレッシングもクリーミー系より、ノンオイルのドレッシングを選び、かけすぎにも気を付けましょう。

食べ過ぎ・飲み過ぎ防止には、適宜、水やお茶で水分補給をすることが効果的です。

しかし、ジュースは血糖値を急激に上げてしまうため、避けたほうが無難でしょう。

 

まとめ

糖尿病は治療のために、多くのことを我慢しなくてはいけないと言われています。

しかし近年では、血糖値をコントロールすることで、上手に病気と付き合うことができるようになってきました。

 

お酒を諦めていた人も、一度医師に相談してみましょう。

そして繰り返しになりますが、くれぐれも適量を超えての飲酒にはご注意くださいね。

 

この記事の執筆監修者

木村 眞樹子木村 眞樹子 先生
(総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医)

 
 
 
 

■経歴

都内大学医学部 卒業

大学病院で循環器内科、睡眠科に従事

現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む

■所属学会

日本内科学会

日本睡眠学会

日本循環器学会

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