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糖尿病の予防にコーヒー?効果と注意点

  • 糖尿病について

糖尿病の予防にコーヒーが効果的と言われているのをご存じでしたか?

じつは、糖尿病とコーヒーに関する研究はいろいろと行われています。

 

そして、コーヒーに含まれているポリフェノールという成分が血糖値の急激な上昇を抑える、と言われています。

ポリフェノールは、糖類の消化に関係する消化酵素の働きを阻害するのです。

消化酵素の働きを阻害することで、糖の吸収が緩やかになります。

 

これが、糖尿病とコーヒーが関係している理由です。

今回は、糖尿病の予防にコーヒーが効果的と言われている理由と注意点について、詳しく解説していきます。

 

コーヒーが持つ健康に良い働き

コーヒーが持つ健康に良い働きは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を予防してくれるということです。

他にも、心臓病や脳卒中、呼吸器疾患の死亡リスクを低下させる、肥満防止など、様々な効果が報告されています。

なぜかというと、コーヒーに含まれているポリフェノールとカフェインが関係しているからです。

 

カフェインというと、「眠気覚まし」というイメージが強いと思います。

しかし、カフェインには炎症を予防する効果や、気管支を拡張する作用があります。

そして、酸化を防ぐ効果のあるポリフェノールとの相乗効果によって、このような生活習慣病などの予防も期待されるのです。

 

糖尿病の予防にコーヒーは効果があるのか

糖尿病の予防に、コーヒーが効果があると言われる理由はなぜでしょうか?

コーヒーは、糖尿病予防のために効果的とされている「運動」や「全粒穀物の摂取」と同じレベルで、リスクを下げる因子となっています。

 

国立国際医療研究センターが行った研究によると、男女とも、コーヒーを飲む量が多いと、糖尿病を発症するリスクが低下するという傾向が見られました。

 

参考:「多目的コホート(JPHCコホート)」における糖尿病・メタボリックシンドロームの発症要因と実態分析に関する研究 | 厚生労働科学研究成果データベース

 

コーヒーに含まれるカフェインが関係していると思われましたが、同じくカフェインを含む紅茶やウーロン茶を飲む習慣のある人には、このような結果は見られなかったのです。

 

コーヒーには、ストレスに反応して分泌されるコルチゾールの活性化を防ぐ効果があります。

コーヒーの香りを嗅ぐだけでもリラックス効果がありますよね。

糖尿病の発症原因でもあるストレスを、コーヒーによって緩和することで、糖尿病を予防してくれるのかもしれません。

 

他にも、コーヒーに含まれているカフェインやクロロゲン酸が、脂肪代謝に関わっている可能性もあると言われています。

カフェインには、脂肪燃焼を促進する働きがあります。

糖尿病は肥満によっても起こると言われているので、脂肪を燃焼して肥満のリスクを減らすことは、糖尿病の予防にも繋がるでしょう。

 

また、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸には、強い抗酸化作用があります。

クロロゲン酸が炎症や酸化ストレスを抑える作用をし、糖尿病の予防に関係しているのではないかと思われます。

 

コーヒーを飲む際の注意点

コーヒーを飲む際に注意してほしい点が二つあります。

一つ目は、コーヒーに含まれているカフェインの摂りすぎに注意が必要、ということです。

 

カフェインを過剰に摂取した場合、不眠やめまい、吐き気、下痢など、様々な健康被害をもたらす可能性があるのです。

また、興奮状態が続いて心拍数が増加したり、血圧が上がったり、不安な気分になったりする、という症状も見られます。

それでは、どのくらいまでならカフェインの摂取が可能なのでしょうか?

 

じつは、カフェインを一生涯摂取し続けた場合の一日当たりの摂取許容量については、個人差が大きいことから、日本においても、国際的にも設定されていないのです。

しかしカナダ保健省では、健康な成人の場合、カフェインの摂取量を一日当たり400mg以下に抑えるように注意を呼びかけています。

 

参考:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

 

これはコーヒーカップ3杯分のカフェインの量です。

カフェインの過剰摂取を防ぐためにも、3杯以上はカフェイン入りのコーヒーを飲まないよう注意しましょう。

 

コーヒーを飲む際に注意してほしい点の二つ目は、コーヒーに入れる砂糖についてです。

コンビニなどで売っている缶コーヒーには、砂糖が多く入っています。

カフェインと砂糖が入っていることで、血糖値の急激な上昇を引き起こします。

 

血糖値が急激に上昇することで、血糖コントロールが乱れてしまい、血管が傷つきやすくなり、糖尿病以外にも合併症のリスクに繋がってしまう可能性があります。

糖尿病を予防するためにも、コーヒーはブラックで飲むようにしましょう。

 

より効果的な飲み方

それでは、糖尿病予防に効果的なコーヒーの飲み方はどのようなものがあるのでしょうか?

おすすめはカフェインレスのコーヒーです。

 

カフェインレスコーヒーとは、カフェインの含有量が少ないコーヒーのことを言います。

そして、コーヒーを飲むことで分泌される「アドレナリン」は、カフェインの影響です。

この「アドレナリン」が血糖値を上げる原因となっています。

 

カフェインレスのコーヒーであれば、アドレナリンの分泌を抑えることができます。

カフェインの過剰摂取を気にせずに安心して飲むことができ、寝る前に飲んでも睡眠に影響を与えません。

食後のリラックスタイムとしても、飲むことができます。

 

また、コーヒーは習慣的に飲み続けることが効果的です。

国内で行われた実験によると、コーヒーを8週間飲み続けた時点では、被験者の血糖値には変化がなかったのですが、16週間飲用を継続すると、ようやく数値が動いたという結果が出ています。

 

なお、コーヒーを飲むタイミングとしては、食事と一緒に摂るのが効果的です。

食事と一緒に摂ることで、食後の血糖値の上昇が抑えられると言われています。

 

まとめ

コーヒーを習慣的に飲むことで血糖値の上昇が抑えられ、糖尿病予防に効果的なことがわかりました。

しかし、コーヒーに含まれているカフェインの過剰摂取は、体調不良を起こす場合があるので注意が必要です。

 

また、コーヒーに砂糖を入れすぎることも血糖値上昇の原因となります。

糖尿病予防でコーヒーを飲む際は、カフェインレス、無糖にすることをおすすめします。

そうすることで、安心してコーヒーを楽しんでいただけることができるでしょう。

 

この記事の執筆監修者

木村 眞樹子木村 眞樹子 先生
(総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医)

 
 
 
 

■経歴

都内大学医学部 卒業

大学病院で循環器内科、睡眠科に従事

現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む

■所属学会

日本内科学会

日本睡眠学会

日本循環器学会

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