果物に含まれる糖質の量と、守ってほしい注意点
- 糖尿病について
季節ごとに旬の顔ぶれが変わる果物は、とてもおいしそうでつい食べたくなってしまいます。
しかし糖尿病を患うと、糖質のコントロールが必須です。
果物は甘みが強く、糖質が多く含まれていそうなので、食べてもよいのか迷ってしまう人もいるでしょう。
今回は、果物と糖尿病の関係について紹介します。
果物に含まれる糖質の量や、糖尿病の人は気をつけたほうがよい果物についても解説するので、参考にしてください。
糖尿病の人に気をつけてほしい栄養素
糖尿病の人が1番に気をつけなければならない栄養素は、何と言っても糖質です。
食事から糖質を摂ると腸で吸収されて、血液中の糖分である血糖値が上昇します。
健康な人であれば血糖値を下げるホルモンが機能して、時間の経過とともに血糖値は下がり、正常な値に戻ります。
しかし糖尿病の人は、血糖値を下げるホルモンの分泌量が少なかったり、効き目が弱かったりして、血糖値がなかなか下がりません。
血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化やそのほかの合併症を引き起こす恐れがあるため、糖尿病の人は血糖値のコントロールが必要となるのです。
糖尿病では、糖質だけでなく摂取エネルギーも適正に保つ必要があります。
エネルギーを摂り過ぎて肥満になると、血糖値を下げるホルモンの効きが悪くなる可能性があるためです。
糖質とエネルギー、両方の適正量を守るのは大変、と思うかもしれません。
しかし糖質を制限するだけで、ある程度エネルギーの摂取を抑えて肥満を防ぐことはできます。
糖尿病の人はまず糖質の摂取量に着目し、血糖値のコントロールに取り組むとよいでしょう。
果物に含まれる糖質
食材によって、食後の血糖値の上がりやすさは異なります。
それをわかりやすく示した指標が、GI値です。
GI値が高いほど食後の血糖値が上がりやすく、多くのパン類のGI値は60以上、白米では90前後とされています。
しかし多くの果物のGI値は20〜50前後に収まるため、果物はパンや白米よりも食後の血糖値が上がりにくいことがわかります。
糖質が多く含まれていそうにもかかわらず、果物を食べた後の血糖値が上がりにくいのは、果物に含まれる糖質の種類が原因です。
糖質には、いくつかの種類があります。
その中でも果物に多く含まれているのが、摂取後の血糖値が上がりにくいと考えられている果糖なのです。
一方で、果糖は体の中で中性脂肪になりやすいため、摂り過ぎると肥満をまねく恐れがあります。
その点では果物も、摂り過ぎは体によくないと言えるでしょう。
果物を食べる量に気をつける
糖尿病の人が1日に摂取できる果物の目安量は、80kcalとされています。
ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む果物は、栄養素を効率的に摂取できる食品であるため、日本糖尿病学会でも摂取が推奨されています。
糖尿病の人でも適正量を守れば、果物を摂取しても問題ありません。
ただし、糖尿病の人が果物を食べる際に注意すべき点があります。
アボカドは果物に分類されますが、脂質が多い食品であるため、食事に含まれる油の量を考慮しながら食べるようにしてください。
糖尿病になると正常な血糖値のコントロールが難しくなるため、糖尿病の人が空腹時に果物を食べると、血糖値が急上昇してしまう危険があります。
果物を朝食代わりに食べたり、食事と食事の間のおやつとして食べたりすることは避けて、食後のデザートとして楽しむようにしましょう。
果物の皮に多く含まれる食物繊維は、腸の中で糖質の吸収を遅らせて、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。
果物に含まれる栄養素を最大限摂り入れるために、りんごなど皮まで食べられる果物は、皮ごと食べることをおすすめします。
果物でも加工品はNG
生の果物よりも缶詰やドライフルーツは日持ちがして、いつでもそのまま食べられるため便利です。
しかし缶詰やドライフルーツ、フルーツジュースは果物として考えないようにしてください。
缶詰は保存性を高めるために、砂糖をたくさん使用したシロップに漬けて、高温で加熱殺菌されています。
生の果物よりも糖分が多く含まれるため、血糖値は上がりやすいでしょう。
加熱により果物中のビタミンが破壊され、カリウムなどの栄養素がシロップに溶け出ている可能性があります。
缶詰の果物は栄養価が低くなっているので、効率的な栄養補給のためにも生の果物を食べることをおすすめします。
果物のみずみずしさは、水分がたくさん含まれている証です。
ドライフルーツは果物から水分を飛ばすことで長期間の保存を可能にし、果物の成分を凝縮して栄養価を高めた食品です。
しかし糖分も凝縮されているため、少量食べただけでも血糖値に大きく影響してしまうでしょう。
また一部のドライフルーツは、果物を砂糖漬けにして水分を抜き、乾燥させて作られています。
このようなドライフルーツにはより多くの糖質が含まれるため、注意が必要です。
フルーツジュースは食物繊維が含まれておらず、糖分の吸収が早いため、血糖値が上がりやすい食品です。
さらに果汁100%ではないジュースは砂糖が添加されている場合があるので、注意してください。
缶詰やドライフルーツ、フルーツジュースはお菓子などの嗜好食品に分類されます。
医師と相談した上で、摂取するようにしましょう。
まとめ
果物には糖質が多く含まれますが、糖尿病の人が食べても適切な量であれば問題ありません。
果物を食べるとビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を効率よく摂取できるため、適正量の摂取は糖尿病でも推奨されています。
この記事を参考にして果物の量や食べ方に気をつけながら、果物を食生活に上手に取り入れて旬の味わいを楽しんでみてください。