口の中が乾くのは糖尿病の症状?原因と対処法
- 糖尿病について
「最近、口の中が乾く感じがする」
「尿の回数が増えた」
そのように感じることはありませんか?
年齢のせいなどにして、そのままにしていることはないでしょうか。
もしかするとそれは、糖尿病のサインかもしれません。
糖尿病で口の中が乾く理由や、その対処法について解説していきましょう。
糖尿病になると口の中が乾く理由
糖尿病になると、どうして口が乾くのでしょうか。
脱水状態になった時に乾くように感じるのは、ごく自然なことです。
しかし、「今まで通りの水分を取っているはずなのに」と思う方も少なくないのではないでしょうか。
血糖値が高い状態が続くと、腎臓で老廃物と一緒に糖分が溢れ出てしまいます。
尿の濃度は、血液の濃度よりも高くなることはありません。
このため、尿に溢れ出た糖分を溶かすために、水分が血液から奪われてしまいます。
その結果、尿の量も回数も増え、いつもと同じ分だけ水分を摂っても脱水状態になってしまい、のどが渇くようになります。
また、尿に糖分が溢れ出る時の血糖値は160~180 mg/dLと言われています。
この値は、糖尿病の診断基準の一部を満たします。
口の中が渇く時は、すでに糖尿病予備軍を超えて、糖尿病になってしまっている可能性もあるので注意が必要です。
糖尿病以外で考えられる原因
糖尿病以外にも、口が渇く症状が出る病気があります。
原因は大きく3つあります。
- 唾液腺の異常
- アセチルコリンの働きの異常
- 血液中のカルシウムイオンの濃度が高い
1.唾液腺の異常
唾液腺の異常で多いのは、「シェーグレン症候群」という自己免疫性の病気です。
自己免疫性の病気とは、それまで正常に働いていた免疫が、ある時から自分自身の身体を異物と間違えて自己抗体で攻撃してしまうものです。
シェーグレン症候群では、ある自己抗体が唾液腺や涙腺を異物と間違えて攻撃して、ダメージを与えてしまいます。
その結果、唾液が出にくくなり、口の中が乾いてしまうのです。
同時に涙腺も攻撃するので、涙も少なくなってしまい、目がゴロゴロする症状が出ます。
さらに、攻撃に伴って37度程度の熱が出ます。
「口の中が渇く」、「目がゴロゴロする」、「疲れやすくて微熱が続いている」などの症状が重なればシェーグレン症候群を疑っても良いかもしれません。
2.アセチルコリンの働きの異常
アセチルコリンという、神経から分泌される物質の作用が弱まると、唾液が出にくくなります。
原因で多いのは、アセチルコリンの作用を押さえる「抗コリン薬」というタイプの薬の内服です。
抗コリン薬は、過活動性膀胱、一部のパーキンソン病薬、一部の抗うつ薬などの成分です。
これらの内服があり、口の渇きに困っている場合は、処方した医師に相談すると良いでしょう。
3.血液中のカルシウムイオンの濃度が高い
血液中のカルシウムイオンの濃度が高いと、尿で身体の外に出そうとします。
その分、水分が必要となり脱水状態になってしまうのです。
血液中のカルシウムイオンが高くなってしまう原因の病気には、副甲状腺の機能の異常か、悪性腫瘍などが隠れている可能性があります。
口の中が乾く時の対処法
次に口の中が乾く時の対処法についてご紹介します。
口が乾く原因によって対処が異なります。
「1.唾液腺の異常」や「2.アセチルコリンの働きの異常」のように、唾液の問題なのであれば、キシリトール100%のガムなどを使う方法もあります。
糖尿病になっている場合や、先に述べた「3.血液中のカルシウムイオンの濃度が高い」のように、尿量が増えた結果、脱水状態になってしまっている場合には、水分摂取が必要となります。
身体に入る水分量が、出ていってしまう水分量と同じか、それ以上の摂取量がなければ、脱水状態になってしまうでしょう。
少し難しい内容ですが、1日に必要な水分の計算について説明します。
身体から出ていく主な水分としては、尿(成人で1200~1500mL/日)、汗、皮膚や呼気から蒸発する不感蒸泄(成人で約900mL/日)があります。
ここにさらに排便の水分量も加わります。
つまり、少なくとも1日に2000mL以上の水分が、身体から出ていっているのです。
逆に身体に入る水分は、食事から約1000mL/日、体の中でエネルギーなどを作る際にできる水分が約300mL/日あり、合計で約1300mLとなります。
出ていく水分よりも、入ってくる水分の方が少ないのです。
このため、正常な状態でも、最低1000mLの水分摂取が必要となります。
口が乾く時は、増えた尿の量に合わせて、水分補給量も調整した方が良いでしょう。
糖尿病による脱水症状を予防する方法
糖尿病による脱水症状を予防する方法は、適切な量の水分摂取が大切だと説明をしましたが、水分の種類次第では、糖尿病を悪化させることがあるため注意が必要です。
大きく2点、注意をしましょう。
- 糖分やカロリーの高い飲料を避ける
- アルコールやコーヒーなどは脱水状態になりやすい
1.糖分やカロリーの高い飲料を避ける
ジュースなどの清涼飲料水は糖分が多く含まれています。
また、熱中症予防で勧められている飲料は、濃度が血液に近いため水分を吸収しやすくはありますが、濃度調整に糖分が使われていることが多いため、糖尿病や糖尿病予備軍の方にはおすすめできません。
また、紅茶などに加えた砂糖や牛乳も血糖値を上げてしまうため、加えるのは避けた方が良いでしょう。
2.アルコールやコーヒーなどは脱水状態になりやすい
アルコールやコーヒーは利尿作用があり、摂取量以上に尿として排泄されてしまうため、アルコールとコーヒーの摂取量は飲水量として数えることはできません。
アルコールやコーヒーを飲む場合はさらに多めの水分を摂るようにしましょう。
このため、基本的には食事以外の水分は、なるべく水やお茶で補うことがおすすめです。
まとめ
「口の中が乾く」という症状は、糖尿病の兆候として見逃せないサインです。
糖尿病で水分が不足している場合は、なるべく意識して水分補給を心がけるようにしましょう。
早期の時点で発見して医師に相談できると、お薬を使うことなく改善することも可能です。
このため、異常を感じた時は早めに医師に相談することをおすすめします。