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一般的に糖尿病の治療にはきつい食事制限を設定されることが多いようですが、当院では患者さんの精神的なストレスの面も考え、無理な制限はかけないようにしています。
そもそも、糖尿病という病気自体は、昔はほぼ見られない疾病でした。それこそ規模の大きな病院で年に1～2例が見られるかどうか、程度のものだったのです。
それがなぜ現代では非常に多く見られる病気になってしまったのか、それは食事の影響です。
昔の日本食では、雑穀米が多く食べられていました。白米に比べ雑穀米には、生活エネルギーを生み出すマグネシウムが多く含まれています。体内にマグネシウムが不足すると、インスリンの働きが悪くなってしまい、その結果糖尿病にもつながってしまいます。白米を食べるようになってから糖尿病の患者さんが増えたのは、当然のことなのです。
その他にも、昔の日本食にはビタミン・ミネラル（マグネシウム・亜鉛・鉄）及び食物繊維といった、身体を健康に保つのに必要な栄養素が多く含まれていたのです。それが、日本食からパンをはじめとした洋食を多く食べるようになって失われてしまい、糖尿病をはじめとしたいわゆる生活習慣病の激増という結果を招いてしまったのです。

当院では、糖尿病の患者さんに2～3割りの麦の入った麦飯を中心とした食事を推奨しています。日本食を続けることで、腸内細菌が元気になり、短鎖脂肪酸を分泌し、インクレチン（ＧＬＰ－１）という最近糖尿病治療薬に使用されているホルモンを分泌させ血糖が上がりにくくします。
また、朝食に麦飯を食べることで、たとえ昼食にラーメンなどの炭水化物を食べてしまっても、血糖値が上がるのを抑えることができます（セカンドミール効果といいます）。

糖尿病は現代の食事の習慣に影響される部分が大きいため、食事を変えるだけで症状を抑え、また、薬の量も減らすことができます。そのような、患者さんがご存知でない情報をしっかり共有し、無理のない治療を安心して受けていただけるように努めています。

糖尿病という病気には日々の食事が大きく影響しています。だからこそ、今糖尿病で苦しまれている患者さんには、食事のことをしっかり考え直していただきたいと考えています。

現代の食事に慣れてしまっていると、日本食を中心とした食事は少し抵抗が生まれるかもしれませんが、そこを変えることで糖尿病の症状に改善が見られるようになるのは確かなことなのです。パンやお菓子といったものは、ある種の依存性があるとされる食品ですので、いきなり絶つのは難しいかもしれませんが、少しずつでも食べる量を減らしていくべきです。

また、現代の食品にはあらゆる添加物が含まれたものや、加工品が溢れています。例えば、簡単にだしが取れる粉末のものが売られていたりしますが、それにはたん白加水分解物や酵母エキスといった添加物が含まれています。これらは食品扱いてあくまで添加物ではないとされるため、パッケージには「無添加」と表記されています。実際には添加物に相違ありませんので、やはり体内への影響を考えた場合は、このような粉末だしを使うより自分でだしを取るのが一番です。

また、私たちの体内には常に電気が溜まっています。昔の暮らしでは自然と体内の電気が外部に放出される機会が多かったのですが、現代ではそれが少なくなっている上、携帯電話を所持することなどにより、体内に溜まっていくことが多くなっています。体内の電気を放出していないと血の巡りが悪くなり、その結果、糖尿病をはじめとしたさまざまな疾病を呼んでしまうことにもなるのです。

ただ薬やきつい食事制限にたよる治療を続けるのではなく、ちょっと暮らしを変えることで、良い結果を導き出すことはできます。そのあたりをきちんと患者さんと話し合っていきたいと考えています。